講座詳細


- 開催日:
- 2025年03月14日(金)
- 時間:
- 18:30 - 20:30
- 募集中
オープンセミナー 第130回 西洋における図書館の歴史―中世の修道院からラウレンツィアーナ図書館まで
図書館学の世界で国際的に活動する、フランチェスカ・ガッローリ氏(ラウレンツィアーナ図書館館長)とエウジェニア・アントヌッチ氏(同図書館主任司書)による本講演会は、フィレンツェのメディチ家由来のラウレンツィアーナ図書館よりお伝えします。
貴重な写本や手稿を所蔵する機関を舞台としてお届けするのは、図書館という概念の誕生と進化についてです。具体的には、中世の学問に中心的な役割を果たす修道院から「図書館」が生まれ、近現代における知の集積拠点となるまでの歴史的変遷をお話しします。特に、ラウレンツィアーナ図書館の至宝であるメディチ家コレクションの歴史に焦点を当て、その歴史的、芸術的、文化的な価値を紹介します。
本講演では、文書館がもつ役割を、保管の技術や、知識や美の保護者としてそれに見出し、イタリアと日本の文化遺産としての書物の比較を試みる共同研究(講演者2名は5月に来日調査予定)の一端をお聴きいただきます。
- 場所
- Zoomオンライン
- 主催者
- 人文社会系研究科・文学部
- 主催者(詳細)
- 東京大学ヒューマニティーズセンター
- 申込主体
- 個人・法人どちらも可
- 受講対象者
要事前登録
登壇者
・ロレンツォ・アマート(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)
・フランチェスカ・ガッローリ(ラウレンツィアーナ図書館館長)
・エウジェニア・アントヌッチ(ラウレンツィアーナ図書館主任司書)
・<通訳>渡辺元裕(東京大学大学院人文社会系研究科)
登壇者プロフィール
フランチェスカ・ガッローリ
ラウレンツィアーナ図書館館長。古写本、手稿コレクションや初期印刷物、図書館学や保存の専門家。長年の豊富な経験により、イタリアの文化遺産保護の分野で大きく認められた存在。
エウジェニア・アントヌッチ
ラウレンツィアーナ図書館主任司書。中世およびルネサンス期の写本や蔵書についての展覧会とカタログの監修を行う。数多くの国際的な研究グループや公的委員会に参加。
ロレンツォ・アマート
ルネサンス期の文学や人文主義的教養、書籍の歴史や写本学、そして美術史や文学と美術の関係についての歴史を専門とする。近年、ジョヴァン・バティスタ・ストロッツィ・イル・ヴェッキオ『詩集』の校訂と注釈、東京大学総合図書館のダンテ・コレクションとルネサンス・コレクションに関する調査に従事。
プログラム
司会:ロレンツォ・アマート
第一部 修道士たちから現代に至るまでの図書館の歴史
(フランチェスカ・ガッローリ)
図書館についての概念は、図書館が宗教的な知識の転写と保存の中心地であった初期中世修道院のモデルから、人文主義的教養への開放と知識の普及によって特徴付けられるルネサンス期や現代のモデルへと移行しながら、幾世紀にも及ぶ進化を経験しました。文化的、社会的、技術的な変化が図書館の役割を、知識を保存する排他的な場所から文化的共有の中心地や出入り口へと、どのように変化させたかを分析しながら、図書館の歴史の重要な発展局面を探求します。
第二部 ラウレンツィアーナ図書館におけるメディチ家コレクションの歴史
(エウジェニア・アントヌッチ)
ラウレンツィアーナ図書館のメディチ家コレクションは、ルネサンス期イタリア最良の書籍遺産の一つです。このコレクションの歴史について、メディチ家の保護下で文化的、政治的権力の象徴として生まれた由来から、欧州でもっとも権威ある図書館の一つへと変貌するまでをたどっていきます。古い写本や書籍の価値を見定め、保存し有効利用する基準について、人文主義的教養やルネサンス文化研究の観点から説明します。
- 東京大学ヒューマニティーズセンター